HSPの人の適職のひとつに「事務職」があります。
実際のところ、
- 「HSPは事務職に向いているの?」
- 「事務職って自分にあっているのかな?」
と考えている人も多いと思います。
そこで、この記事ではHSP目線で見た事務職についてご紹介します。
ちなみに、私はコールセンターで3年、経理事務で10年の経験があり、今も事務職として働いています。
HSPが事務職に向いているところ、向いていないところをお伝えしていきますので、これから事務職で働こうとしている人は参考にしてください。
HSPが事務職に向いているところ
1人で事務処理ができる
HSPの人は、共同作業があまり得意ではありません。
共同作業では仕事を頼む、頼まれることが発生します。HSPの場合、相手の機嫌や忙しさが気になり、仕事を頼むまでにかなり慎重にタイミングを見計らいます。また、仕事を頼まれると断れず、多くの仕事を抱えてしまいがちです。
私も同僚に仕事を頼むとき、声をかけるタイミングが分からずいつもドキドキしてしまいます。
その点、事務職は個人で完結する作業が多いため、自分のペースで取り組むことができます。また、HSPは計画を立てることが得意とする人も多いため、業務の段取りを調整することも苦になりません。
人のサポートをするのが好き
HSPの人は、自分が活躍するよりも人のサポートをする裏方の仕事を好む傾向があります。
事務職の仕事は主に、
- データ分析や書類作成
- 社内の備品管理
- 来客や電話、メールなどの社外対応
などがあり、主にサポートがメインのお仕事です。
HSPの人は、「一を聞いて十を知る」と言われるくらい、あらゆる可能性を想像して臨機応変に対応することができます。
また、共感力が高い傾向にあり、他者の痛みにとても敏感です。人一倍感情移入をするという特徴から、「人の役に立ちたい」という思いを強く抱く人も少なくありません。
事務職は「縁の下の力持ち」的な存在であることから、HSPの人たちにとって適職と言われています。
比較的忙しくない
事務職は、職場にもよりますが比較的忙しくない場合が多いです。
HSPの人は、じっくりと物事を考えるため、行動までに時間がかかるので、短時間で判断して行動することが苦手な所があります。
そのため、慌ただしい中で働くのではなく、じっくり考えて自分のペースで業務に取り組むことができる職場が向いていると言えます。
ノルマがない
ノルマや売上目標が厳しい仕事では、自分のペースで仕事ができずノルマに追い詰められてしまい、強いストレスを感じてしまいます。
常に成果を求められる環境では精神的な負担が大きく、周りからのプレッシャーに押しつぶされてしまう懸念があります。
そのため、営業職などの仕事はHSPの人にってつらい仕事になる場合も…
また、時には同僚たちとの競争から出しぬくことが求められることがあるでしょう。共感力の高いHSPの人にとっては苦痛になりかねません。
その点、事務職は期日までに提出しなければならないものなどはありますが、売上達成のノルマなどはないので、コツコツと地道に取り組むことができます。
HSPが事務職に向いていないところ
意外と人と話す機会が多い
事務職は、人と話さずに仕事ができると思われがちですが、電話や来客の対応など意外と人と話す機会が多いです。
特に電話対応の場合、
- 取引先からの電話
- 担当者の分からない問い合わせ
- 顧客からのクレーム対応
- 聞き取りずらい人からの電話
どんな機嫌の人からの電話か分からない、さまざまな電話応対があります。
些細な刺激を察知するHSPの人は、頻繁にかかってくる職場環境だと疲れてしまうかもしれません。
私もコールセンターに勤めていたときは、1日30回以上電話を取っていました。その時は、体よりも心がヘトヘトになったことを覚えています。今の職場は1日に多くても5~6回なのでとても楽になりました。
また、同僚や上司への仕事の依頼や催促などで話す機会があります。「今話しかけても大丈夫かな?」「忙しいのに頼んで申し訳ない」など、あれこれとHSPの人は考え込んでしまいます。
事務職は雑務など、いろいろな用事を頼まれることも多いです。1人で集中できる作業時間を確保できるか確認する必要があるでしょう。
マルチタスクを求められる
HSPの人は、マルチタスクが得意ではないという人がいます。
マルチタスクが苦手な原因とされる気質は、
- 真面目で何事にも誠実に対応しようとする
- スピードが要求される場面で、混乱してしまう
- 刺激に弱い
事務職は、いくつもの小さな業務を担当し、並行して作業を進めることが多い職種です。
あれこれと他の人が気付かない細かなところまで気付いて対応してしまい、結果的に仕事量が増えて、終わるのに時間がかかってしまいます。
すべての業務が終わるころには気力を失い、動けない状態になってしまうことも…
納期に間に合うようにできればいいものの、できなかった場合は周囲に迷惑をかけてしまいます。
求められていた要求に応えられなかった場合、もともと自己肯定感が低いHSPの人は「やっぱり自分はダメなんだ…」と自分を責めてしまいます。
オフィスの周囲の言動や環境が気になる
HSPの人は、自分の取り巻く環境に非常に敏感です。
慌ただしい部署の場合、周囲の人のイライラした様子やため息、怒号といった言動が飛び交うこともあるでしょう。
そんな時、HSPの人はその原因がすべて自分に責任があるかのように錯覚し、集中力が乱されてしまい、疲れてしまいます。
また、騒音やにおい、暑さ寒さといった環境にも敏感です。
- パーテーションで区切られていない広々としたオフィス
- 人の出入りが激しい入口付近や通路側の席
こういったところだと落ち着かないというHSPの人もいます。もし席移動が可能であれば、上司や同僚に相談してみましょう。
以前いた部署では、トイレが男女兼用というところでした。私はそれがとてもストレスで、トイレを極力我慢していたことがあります。そういった職場はだんだん少なくなってきていますが、女性にとってはとても大切なことなので、トイレは男女別かなどもチェックポイントです。
HSPが事務職で活かせること
丁寧な仕事でミスが少ない
事務職は、データ入力や伝票処理など正確でミスのない対応を求められます。
HSPの人は、深く情報を処理するという特徴があるので、経理やデータ入力などの細かいスキルが求められる事務職で実力を発揮できるでしょう。
コツコツ作業が苦にならない
HSPの人は、コツコツと作業を進めることを得意としています。
「石橋をたたいて渡る」ということわざがピッタリで、慎重に確実にこなしていきたいというタイプです。
ある程度、規則性があり予定が立てやすいルーチンワークの方が、HSPの人たちによってよりよい成果を出すことができるでしょう。
気配りができ、相手の立場に立った仕事ができる
HSPの人は、他の人に感情移入しすぎてしまうところがありますが、それだけに相手の立場にたった仕事をすることができます。
相手の表情や声色、言葉のニュアンスなどから感情や意図を瞬時に察することができるので、周囲の人をフォローすることができます。
それは事務職で欠かすことのできない電話応対でも同様です。その人に合わせた対応ができ、それが信頼を獲得することへ繋がります。
危機管理能力も高く、予測を立てて行動できるため、会社で「気配り上手」と評価されるでしょう。
事務職を選ぶときに確認すべきこと
トラブルの多い職場でないか
事務職は主にオフィスでの仕事がメインとなり、社外の人とのかかわりが少ないため、社内の職場環境が大切になってきます。
HSPの人は、感受性が人よりも強いので、良くも悪くも自分の置かれた環境に左右されてしまいます。
- セクハラ・パワハラをする人がいないか
- 厳しい人や感情の起伏が激しい人はいないか
- 勤務経験の長いお局様のような人はいないか
- いじめをするような人はいないか
HSPの人は、こういった人たちのトラブルに巻き込まれやすいので注意が必要です。
HSPの人は、決してコミュニケーション能力が低いわけではありません。むしろ、共感力が高く、相手のしぐさや表情からどんなことを思っているのか読み取るのが得意なので、自分に合った職場に恵まれれば、より良い人間関係を築くことができます。
責任が重い業務を任せられないか
HSPの人は、真面目で責任感が強い気質の持ち主。
自分に任された仕事は全力で結果を出そうと取り組みます。しかし、責任が自分だけにのしかかるような業務はストレスがかかりやいため、自分がどんな仕事を任される可能性があるのかしっかり調べることが重要です。
休暇が取りやすいか
HSPの人は、無意識のうちに気遣いができてしまい、常に脳をフル稼働させているため疲れやすい傾向があります。
ストレスや肉体的な疲労を抱えやすく、体調に波が出やすい人もいますので、きちんと自分をリセットする時間がHSPの人には必要です。
その点、事務職はお休みがカレンダー通りでライフワークバランスが取りやすい職場が多いです。
万が一体調を崩したときでもしっかりと心と体が休める職場環境を選びましょう。
部署異動が可能か
もし配属された部署で上手くいかなかった場合、部署異動が可能かどうかも大事なポイントです。
誰しも配属された部署でどうしても上手くいかないということもあるかもせれません。そんな時は部署異動が可能であれば、転職をすることなく再スタートを切ることができます。
ここで注意しておきたいのが、会社の規模です。
そもそも従業員が少ない小規模の会社の場合は、部署異動ができないということもあるかもしれません。
大規模の会社で部署異動も可能であれば、新たな環境に身を置くことができるので会社選びの際に探してみてください。
監視の目がなく、ある程度自分の裁量で進められるか
HSPの人は、常に誰かの目線があると気になって集中することができません。
近くの席に先輩や上司がいたりすると、見られていると思うだけで気が休まらずに疲れてきてしまいます。
HSPの人は丁寧でミスが少なく、あらゆる可能性を予想してトラブルを未然に防いだり、すぐに対応する能力に長けています。
ある程度、自分で段取りが自由にできて、仕事を進められる方がHSPの人は安心して自分の能力を最大限に仕事に取り組むことができます。
まとめ:自分に合った職場を選ぶことが重要
これから事務職として働こうと考えている人に向けて、HSPが事務職の向いているところと向いていないところについて解説しました。
HSPにとって事務職の向いているところは、
- 1人で事務処理ができる
- 人のサポートが好き
- 比較的忙しくない
- ノルマがない
でした。一方で、向いていないところは…
- 意外と人と話す機会が多い
- マルチタスクを求められる
- オフィスの周囲の言動や環境が気になる
HSPの気質が事務職に合っているということは間違いありません。
しかし、「自分はHSPだから絶対に事務職しかない!」と決めつけるのは問題です。
結局は、自分に合った職場環境であるかどうかになってきます。
HSPである自分の気質と向き合って、それでも自分は事務職に向いているかをよく考えてみてください。
事務職を選ぶときに確認するポイントは、
- トラブルの多い職場でないか
- 責任が重い業務を任せられないか
- 休暇が取りやすいか
- 部署異動が可能か
- 監視の目がなく、ある程度自分の裁量で進められるか
でしたね。職場探しの時にこちらのポイントをチェックしてみてください。
みなさんが働きやすい環境を見つけられることを祈っています。